「おさみしくなぞないわ。」

山岸先生の名作「日出る処の天子」の聖徳太子の台詞だ。

魂の同性愛で不義の間柄の恋する毛氏に、

「おさみしくはないですか。」ときかれてこう答える。

太子は霊的な力を持っていて、それを恐れた母から愛されていない。

そんでもって家族から阻害され、ひとりぽつーん。

そんな太子に「おさみしくはないですか。」

 

・・・バカかお前。鈍感にもほどがあるぞ。

そんな鈍感馬鹿を愛しているとは太子もさぞ切なかろう。

 

会社で唯一お知らせの張り紙を作る仕事が毎月ある。

季節の絵柄で飾っている。

ほとんど数字とか社会的手続きとかばかりしてるから、

わたしのひそかな楽しみとなっている。

「今月はクリスマスバージョンだ、どうだ、ムーディーであろう。」

「・・・北林さん、さみしくならないですか。」

 

「バカか、おさみしくなぞないわ!」