晩夏

セミが命の最期にこのアパートの私の部屋の前を選ぶのはなぜですか。

 

引越しについて家族に話すといつもの批判でテンションだだずべり。

「私今度は自由ヶ丘か広尾あたりに住みたいと思うの。

家賃も相応だし、おしゃれなカッフェもあるから皆さん気に入ると思うわ。」

とか言う訳ないじゃん。

 

「アラブのなんとかって国のお金持ちの第3婦人になりますので、

明日からドバイに新婚旅行に行ってきます、帰国がいつかは解りません。」

とかの方がまだ言う可能性あると思うよ。

 

中流意識は治らぬ病気ってアンジーが歌ってたじゃん、

ってばかなのは私なんです。ええ。いつだってごめんなさい。

世の中の価値水準にのっとり、努力し、勝負し、我慢し、手に入れ、大切にし、守り、育て、慈しむことができずにごめんなさい。

泣いてあやまります。

 

今日もセミの死体があるかと思うとオチオチ部屋から出られません。

負ける気しかしない(キッパリ)。

あいつら死んだフリとかするし・・・。

 

追伸:1行目の質問覚えてますか?

    本当は私だってわかってるんです。

    セミが命の最期にこのアパートの私の部屋の前を選ぶのは

    たまたまです。

    しかもそんな現象は珍しくもないのです。